洪水危険地域に位置するウィニペグ

By | 2014年4月22日
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非常に長くて非常に寒かった冬がようやく終わり、ウィニペグにも春がやって来ました。もうこのまま溶けないんじゃないかとも思えた雪は徐々に溶け、今では建物の影や吹き溜まりに少し残っている程度です。この雪もあと数日で姿を消すことでしょう。

春が来て暖かくなり、雪が溶けて芝生が見えてくるのは本当に嬉しいのですが、この時期に問題になってくるのが洪水問題です。

ウィニペグ、マニトバ州南部は洪水多発地帯

ウィニペグは、マニトバ州南部、カナダ中央部のプレーリー(平原)に位置しています。市内には、レッドリバーという大きな川とアシンボインリバーという大きな2つの川の合流地点があり、この川の存在が街の発展に繋がりました。

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レッドリバー全体図

レッドリバーはアメリカのミネソタ州とノースダコタ州にある支流を起点とし、両州の州境を流れマニトバ州に入り、ウィニペグ北部にあるウィニペグ湖に流れ込んでいます。毎年春になると、雪が溶け、膨大の量の水がレッドリバーに流れ込みます。

マニトバ州南部はプレーリーに位置しているので、許容量を超えた水はそのまま川から溢れだし、洪水が発生します。

洪水との戦い|Floodway(放水路)の建設

小さいものも含めると洪水は毎年発生しており、特に1950年に発生した洪水は多大な損害を出しました。この洪水ではウィニペグのほぼ全域が水で覆われ、ウィニペグが1つの大きな湖のようになったそうです。10万人の人が避難を余儀なくされ、被害額は600億円から1兆円であったと言われています。

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1950年の洪水当時のウィニペグ市内。上空から。

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ウィニペグ市内の様子

この洪水以降、将来的な洪水の被害を最小限にするべく、Floodway(放水路)の建設が始まりました。人工的な放水路を作ることによって、ウィニペグ市内を流れる水の量をコントロールするというものです。

1962年から1968年にわたって行われたこのウィニペグのFloodway建設工事は、当時パナマ運河に次いで世界で2番めの規模の土木事業でした。建設費は現在の金額にして360億円、(3番目はスエズ運河)総距離は26キロにも及び、その後40兆円以上の被害を防いだと言われています。(許容量は1,700立法メートル)

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建設された初期の放水路

26キロの放水路で十分かと思われていたのですが、1997年、「Flood of the Century」と呼ばれる洪水が発生します。

1997年4月にレッドリバー周辺の地域でブリザードが発生しました。50センチ以上も積もった湿気の含んだ雪が一気に溶け、ウィニペグに襲いかかりました。

当時の26キロのFloodwayは1,700立方メートルの水量まで耐えられる設計になっていたのですが、この年の洪水は1,800立方メートルまでおよび、ウィニペグにも約500億円もの被害をもたらしました。

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1997年の洪水の被害。

この26キロのFloodwayのおかげで被害が最小限に食い止められたのは確かですが、同時にこれでは100年に一度の洪水には耐えられないということも証明されました。そこで、Floodwayの延長が決まり、現在は47キロほどの長さまで延長されました。許容量は1,700立法メートルから倍以上の4,000立法メートルになり、これにより700年に一度の洪水には耐えられる構造になったということです。

700年に一度の洪水と言われてもいまいちピンと来ないですが、1997年の洪水の2倍の水量にも耐えられるということなので、かなり余裕をもって作られたということがわかります。

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現在のFlood Way

今では、上の画像からも分かる通り、ウィニペグの手前でレッドリバーの水がFloodwayに入り、ウィニペグ市内を迂回してからまたレッドリバーに戻るという構造になっています。

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現在のFloodway

ダムなどの洪水に備える設備もありますが、Floodwayが洪水対策で一番重要な施設であることは間違いありません。

今年の洪水の被害は?

さて、積雪量の多かった今年は洪水の被害はと言うと、驚くことに洪水のリスクは非常に低いようです。積雪量は多かったもののなかなか暖かくならなかったので、雪が一気にとけず、すこしずつ溶けていったのが良かったようです。
たしかに、去年の冬は自宅の前の歩道が歩けなくなるくらいの水たまりになっていたのですが、今年は全くそういう問題もありません。また、レッドリバーに関しても、水量が大幅に上がっているということはありません。

早く暖かくならないかと思っていましたが、急激に暖かくなって洪水の危険性が増すよりは、ゆっくり暖かくなったほうがよいということですね。

 

※2月21日追記

レッドリバーの水量が上がっていないと書きましたが、間違いでした。数日前にはほぼ変化が無いように見えた水量が、今日見たら驚くほど上がっていました。橋のすぐ下まで水面が迫ってきていました。

それでも洪水に関する警報は出されていないので、Floodwayがちゃんと水量を調節していてくれているということですね。






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