飲食業界における外国人雇用制度一時停止の背景

By | 2014年4月30日
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先週、カナダ政府から飲食業における外国人雇用許可(LMO)の処理の停止が発表されました。政府の発表には、理由として「重大な制度の悪用が発覚したため」とありましたが、実際にはなにが原因だったのでしょうか。

マクドナルドフランチャイズ店の不正

事の発端は、マクドナルドにおける外国人雇用制度(Temporally Foreign Worker Program)の悪用がCBCによって告発されたことによります。BC州ビクトリアにあるマクドナルドフランチャイズ店でチームリーダーとして働いていた男性によると、彼の働いていた店は、フィリピン人を意図的に優遇していたそうです。

※カナダ全土にあるマクドナルドの75%がフランチャイズ店であり、すべてのマクドナルドレストランがマクドナルドによって直接経営されているわけではありません。

外国人労働者を優遇

フィリピン人のフルタイムのシフトを与え、カナダ人には十分なシフトを与えなかったり、カナダ人からの応募があったにもかかわらず、採用しようとすらしなかったということです。例えば、彼の働いていた店には、何件ものカナダ人からの応募がありましたが、(中には大学卒の人もいましたが)すべて採用されませんでした。その理由を聞くと、マネージャーは「フィリピン人が9人くらい来ることになってるから」と言ったそうです。

外国人労働者を雇用するのは、あくまでもカナダ人で適切な人材が見つからなかった場合のみとされています。しかし、この話が事実だとすると、経営者はカナダ人を雇用する努力をせずに外国人を雇用していたことになります。

このCBCの告発後、政府はすぐにこのフランチャイズに対して調査を行い、実際に外国人雇用制度の悪用が認められたため、このフランチャイズからのLMOの処理を停止、フランチャイズはブラックリストに入れられました。

http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/mcdonald-s-accused-of-favouring-foreign-workers-1.2598684

告発はカナダ全土から

この告発が世間に明るみになったあと、カナダ全土でマクドナルドにおける違反が告発され始めました。そのなかの1人、以前アルバータ州にあるマクドナルドのフランチャイズ店でシフト管理の職についていたという男性は、マネージャーから「外国人労働者をシフトに優先的に入れるように」と指示されていたと告発しました。

フルタイムで働いていたカナダ人の労働時間が削られ、代わりにフィリピンなどから来た労働者が優先的にシフトに入るようになっていったため、徐々にカナダ人は少なくなり、今ではほぼフィリピン人労働者のみになっている店舗もあるようです。

また、20年以上もマクドナルドのフランチャイズ店で働いていたという女性も、経営者がフィリピン人を優先的にシフトに入れるようになり、さらに時給も大幅にカットされ、その結果その店をやめざるを得なくなってしまったと告発しました。

http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/mcdonald-s-foreign-worker-practices-face-growing-investigation-1.2607365

よく働く労働者

経営者たちはそろって、「フィリピン人たちの方がよい労働者」だといいます。確かにフィリピン人たちは勤勉でよく働くという話をよく聞きます。時間には遅れない、頼んだことはすぐにやる、手を抜かない。レストランを経営している私の友人も、全く同じことを言っています。カナダ人は働き始めて数日で突然来なくなってしまったりということも多いですが、フィリピン人は全くそういうことはないそうです。

しかし、よく働いてくれるからといって「外国人雇用はカナダ人で適切な人材を見付けることが出来なかった場合の最終手段」というルールを破っていいというわけではありません。

雇用主は、外国人を雇用する前にカナダ人を雇用する努力をし、その証拠を提示しなくてはいけないことになっているのですが、経営者の中には、外国人労働者がよく利用する求人サイトのみに求人情報を掲載し、同じ求人をカナダ国内の大手求人サイトには求人を載せていなかったりもします。

外国人労働者に不利な条件

以上は雇用主が外国人労働者を優遇しているというケースですが、またその逆の状況も存在します。「マクドナルドは外国人労働者をまるで奴隷のように扱っている」というものです。

あるベリーズ出身の男性によると、この男性が働いているアルバータ州エドモントンにあるマクドナルドのフランチャイズ店では、雇用した複数の外国人労働者を強制的にフランチャイズ店のオーナーが所有するアパートに住まわせ、必要以上に高い家賃を給料から差し引いていたそうです。更に、「このアパートが出たければ出て行ってもいいが、それでもアパート代は給料から差し引く」とまで男性に伝えたそうです。

http://www.cbc.ca/news/canada/edmonton/mcdonald-s-foreign-workers-call-it-slavery-1.2612659

この男性は、「インターネット上で会社の文句を書いた」事によって他の従業員に迷惑をかけたということで、マクドナルドを解雇されてしまいました。

また、他の外国人労働者によると、母国で契約書にサインした際には、「十分な時間外労働もあり、その分の手当も出る」とあったそうですが、実際に働き始めてみると、時間外労働は一切認められていないという事もあったそうです。

告発はカナダ全土から

告発は、アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州、ノバスコシア州、ニューブランズウィック州そしてニューファンドランドから寄せられているようです。

当初、カナダ政府は違反が発覚したフランチャイズ店のみに制裁措置をとっていましたが、カナダ全土において外国人雇用制度の一時停止を発表したということを考えると、かなりの数の違反が発覚したということなのかもしれません。

しかしきちんとルールを守って、正規の手続きに則って外国人労働者を雇っているという会社も数多く存在します。重大な違反が見つかったからといって処理をすべて停止というのはちょっとやり過ぎな気もするのは確かです。

マクドナルドカナダの反応

マクドナルドカナダのCEOは、「これは我々に対する攻撃であり、また、我々のブランドやシステムに対する攻撃であり、全くふざけた話だ」とこの政府の対応を強く批判しています。違反が発覚したフランチャイズとは既にフランチャイズ契約を破棄しており、他のフランチャイズ店での状況も調査中だということです。

また、CBCの一連の告発に関しても、「一部の解雇された人たちの言葉だけを元にした記事であり、フェアではない」とCBCを批判しています。

これに対しCBCは、「解雇された人だけでなく、今現在マクドナルドで働いている人からの多くの証言、さらにそれを裏付ける文書や給与明細などの証拠も揃っている。記事は事実に基づいたものだ」と反論しています。

http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/mcdonald-s-canada-ceo-calls-foreign-worker-controversy-bullshit-1.2621151

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カナダは移民の国であり、労働力の多くを外国からやってきた労働者に頼っています。前述のとおり、外国人労働者はカナダ人よりもよく働く傾向にあるというのも見逃せない事実です。不正を行っていた経営者は厳しく処罰される必要がありますが、今回の停止措置が、外国人労働者だけではなく、カナダの経済にとっても悪影響を及ぼす可能性は十分にあるはずです。

一刻も早く政府の調査、LMO手続きの見直しが行われる事を期待します。






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